- マーケティング事例が苦手です。
- 情報が盛りだくさんで、どのように整理したら良いかわからない。
- そもそも、マーケティング事例の解き方がわからない。
・・・こんな風に感じる受験生も多いのではないでしょうか。
実際にマーケティング事例が苦手という受験生が多いのも事実。しかし、マーケティング事例に必要な知識は限られていて、知識と考え方を学べばが「苦手」が「得意」に変わります。
二次試験で必要な一次試験知識は、全事例共通の知識と事例ごとの特有の知識を覚えれば大丈夫です。
今回は事例Ⅱのマーケティング事例に必要な一次試験知識と考え方をご説明します。ここで紹介している知識と使い方をマスターすれば、マーケティング事例で高得点を狙えるようになります。

目次
中小企業診断士の二次試験はマーケティングを重視せよ!
「マーケティング事例を制するものは、中小企業診断士試験を制する」という言葉が合格者の中で囁かれています。
合格者の中には、財務・会計事例がかなりの高得点で合格された方も見えますが、中小企業診断士として、試験でも実務でも戦略立案をするうえで、最も重要な要素がマーケティングです。
マーケティング事例では、「何を書いたらよいかわからない」という受験者の声も多くありますが、解答するコツがあります。
マーケティング事例のコツがわかると、きっと一番好きな事例・得意な事例になると思います。
そして、他の事例に対する取り組み方(意識?)もかわり、自信をもって解答できるようになります。
それだけマーケティング事例は大事です。マーケティング事例ができれば、他の事例は「どんとこい」です。
マーケティング事例を解くことが楽しい、そんな言葉を受験者から聞くことができたら、私もうれしいです。
独学者必見!中小企業診断士の二次試験(マーケティング事例)で必要な全知識をまるっと公開!
それでは、中小企業診断士の二次試験(マーケティング事例)で必要な全知識をご紹介します。
知識の内容と二次試験での活用例や考え方をマスターしてください。
マーケティング事例で必要な全知識と切り口
中小企業診断士の二次試験に合格するために、マーケティング事例で使うべき全知識を紹介しています。
順番に覚えていきましょう。
4P
製品(Product)、価格(Price)、チャネル(Place)、プロモーション(Promotion)の頭文字をとったもの。
主に、製造業のマーケティングミックスとして用いられる。
商業・サービス業においては、商品(品揃え・価格)・ハード(店舗・立地)・ソフト(プロモーション・サービス・販売方法)の切り口でマーケティングミックスを考えたほうがマッチする。
STP
セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの頭文字をとったもの。戦略策定のために標的市場を選定するうえで用いる。
セグメンテーションでは市場を細分化するが、細分化基準として覚えておいてほしいものが、デモグラフィック基準、サイコグラフィック基準、行動基準。
デモグラフィック基準は、気候風土や地域、都市の規模など地理的要素と、性別や年齢、家族構成、収入など人口動態的要素のこと。
サイコグラフィック基準は、パーソナリティやライフスタイルなどの心理的要素、行動基準は、購買頻度やベネフィット、ロイヤルティ。
細分化しやすいのは、デモグラフィック基準であるが、それのみの細分化ではターゲットを絞り込むことが難しいため、デモグラフィックだけではなく、サイコグラフィックと行動基準を合わせて細分化するべきである。
マーケティング事例では特に、サイコグラフィック基準が重要視される。
ターゲティングでは、集中型、差別型、無差別型に分類されるが、中小企業は特定セグメントに集中する集中型で攻めるのが定石。
ポジショニングでは、ポジショニングマップをもとに、差別化の軸を2軸設定し、自社の事業領域を選定する。何を差別化し、顧客に認知させるかという点で考えるべきである。
一次試験知識の二次試験での応用と解答のコツ
4P
4Pは、事例企業が製造業であれば有効な切り口である。
製造業であれば、マーケティングミックスを4Pで考えても十分解答可能である。商業・サービス業であれば、以下の商品、ハード、ソフトの3つの切り口でマーケティングミックスを考えると解答しやすい。
マーケティング事例の与件文や設問文を見たとき、まず、「業種は何か」を考えるべきである。
4Pや商品・ソフト・ハードで考えるべき設問は、「マーケティング戦略上の・・・」、「・・・製品戦略を答えよ」、「・・・プロモーション戦略を答えよ」などと問われる。
ターゲット・ニーズ
与件文の内容にもよるが、デモグラフィック基準とサイコグラフィック基準によってターゲット選定をすると絞り込みやすい。
その際、サイコグラフィック基準を中心に考える。中小規模店の選考セグメント(小さなお店を好む人)として、
- 本格志向(こだわり、個性、専門性)
- 人的コミュニケーション志向(店員のアドバイス、店員とのコミュニケーション)
- 関係性志向(リピーター、固定客、お気に入りのこの店を長く使いたい、地域密着)
・・・がある。
また、ニーズとしては、既存顧客の顕在ニーズと新規顧客の潜在ニーズがある。
ターゲットやニーズを考えるべき設問では、ダイレクトに「・・・ターゲットセグメントを答えよ」と問われるケースが多い。
商品
商品は、品揃えと価格という2つの視点で考えると良い。
品揃えはさらに、「増やす・減らす」、「ライン(水平)・アイテム(垂直)」、「専門化・総合化」と切り口を分解できる。
価格は、高付加価値、適正価格と置き換えて考えるべきである。
品揃え、価格いずれも、市場ニーズ(社外)や財務的視点(社内)で考えられると良い。
また、消費者の購買特性である最寄品、買回品、専門品のどれに該当するかも意識すべきである。
ハード
ハードは、店舗・立地に分けられる。
小売業は立地産業とも言われ、過去問においても地図が出題されたり、立地特性を押さえるべきである。
立地は都市部なのか、地方なのか、周辺環境などを与件文から読み取る。店舗では、直営店や旗艦店など、情報の発信、受信(収集)という点でも考えられるとベター。
設問では、外部環境分析と併せて出題される場合もある。
ソフト
ソフトは、プロモーション、サービス、販売方法に分けられる。
プロモーションは、既存顧客と新規顧客に分けて考えると良い。
また、プル戦略(広告、PR)とプッシュ戦略(人的販売、セールスプロモーション)の2つの切り口でも考えられるが、中小企業では圧倒的に人的販売(人的コミュニケーション)に強みを見出せる。
人的コミュニケーションとは、きめ細かなアドバイスやライフスタイル提案、専門知識によるコンサル、おもてなしなどのこと。
さらに、口コミを誘発させる仕組みづくり(記憶しやすい、伝えやすい、伝えたくなる)も大切である。
販売方法では、対面販売やセルフサービスなど多種類あるが、中小企業では対面販売に強みを見出せる。
また、サービス・販売方法では、いかに価値を創造していくかを考えるべきである。
小売業の例でいえば、単に小売りのみをするのではなく、コーディネートや加工、各種サービス、学び体験提供など、プラスアルファを追求していく。
その代表格は、高齢者の御用聞きサービスやフラワーアレンジメント、小分け量り売り、宅配サービス、アフターサービス、農業体験などがある。
顧客管理(マネジメント)
顧客カルテなどマーケティング・ミックスを支えるマネジメント。
知識として、
- リレーションシップマーケティング
- 顧客維持活動
- RFM分析
- FSP
・・・を押さえておくべき。
方向性として、リレーションシップマーケティングでは、顧客の維持や顧客シェアの獲得、資産としての顧客、顧客満足、生涯価値(LTV)を押さえよう。
顧客維持活動では、顧客と販売スタッフとのコミュニケーション、顧客との継続的接触、ポイントカード、売り場・品揃えの変化や新鮮さを押さえておくべき。
RFM分析は、R:直近購買日、F:購買頻度、M:購買金額で、優良顧客に効果的なプロモーションを行うための手法。
FSPは、得意客の優遇し、固定客化を図る手法。
サービスマーケティング
サービスマーケティングとは、企業と従業員(CP:コンタクトパーソネル)、顧客の3つの切り口を対象としたマーケティング手法。
ちなみに、サービスの特性としては、無形性、品質の変動性、生産と消費の同時性、消滅性、需要の変動性がある。
サービスの特性を意識して顧客と接する従業員のスキル向上も大変重要である。以下は、サービスマーケティングを図示化したもの。
独学者向け中小企業診断士の二次試験マーケティングに必要な全知識、まとめ
これまで紹介してきた知識は確実にマスターしましょう。
そして、二次試験ではそれらの知識を頭でフル回転させ、「この設問は、この知識・切り口で答えるべき」と自分なりに解釈できれば、マーケティング事例が楽しくなります。
二次試験の過去問について、どうやって知識を活用したら良いか不明な場合はTwitterでメッセージをいただければ順番にお応えいたします。

