中小企業をコンサルする上で、中小企業の強みを理解することは非常に重要です。
中小企業診断士の二次試験においても、強みは必ず押さえておきたい要素です。与件文や設問文に事例企業の強みは必ず登場してきます。
私は中小企業診断士の二次試験をかなり研究していますが、強みをどのように把握して、どのように活用するかが二次試験に合格できるかの分かれ道です。
この記事では、受験生の皆さんが中小企業診断士に最短で合格してもらうために、二次試験における強みのポイント、把握方法、活用方法について紹介します。
強みのポイントを理解できれば、二次試験に対する取り組み方も変化し、合格へグンと近づきます。
目次
中小企業診断士の二次試験では無形資源に着目!
まずはじめに、中小企業と大企業の差は何でしょうか。
簡単に言えば、経営資源の違いです。
経営資源の中で、中小企業はヒト、モノ、カネ、そのほとんどが大企業に劣ります。
経営資源は、ヒト、モノ、カネといった有形資源と情報やノウハウなどの無形資源に区分できます。中小企業診断士の二次試験では、無形資源に着目することが大前提です。
無形資源とは?
過去問を通じて、与件文に多く出題される無形資源として、信用、こだわり、ブランド、経験、知識、技術、ノウハウ、関係性があります。
与件文を読んでいく中で、このような文言が出てきたら要チェックです。
また、無形資源のほかに小規模特性と呼ばれるものがあります。小規模特性については、静岡県立大学の岩崎教授の著書「スモールビジネスマーケティング」や「小が大を超えるマーケティングの教科書」に詳細に記載されています。中小企業診断士を独学で受験する皆様は、これらの本を一度は読むことをおすすめします。
岩崎先生は試験委員でもありますので、読んで損はないです。
余談ですが、個人的に岩崎先生が大好きになりまして、私が企画したセミナーの講師として招聘したくらいです。
小規模特性とは?
岩崎教授の著書によると、小規模特性には、以下のようなものがあります。説明解釈は、著書に倣い筆者が簡便化したものを記載しています。
真空地帯対応力
真空地帯とは、だれも手をつけていない分野、いわゆる、ニッチなところです。
大企業ではなかなか採算がとれず参入しづらい分野に小規模企業は対応できる点があげられます。
変化対応力
市場の変化、顧客の要望の変化、製品仕様の変化など、あらゆる変化に対して迅速に対応できるのも小規模企業の強みです。
個性化力
中小企業が競合などに勝るためには、個性が必要です。
個性や独自性があれば、その個性を好む顧客を取り込むこともできますし、リピーターとして固定客化を図ることもできます。
地域密着力
地域のコミュニティなど、積極的に地域とコミュニケーションをとり、「この地域の○○といえば、△△だよね」と言われるブランド力を構築できる点も強みです。
地域との関わりやコミュニティーなどの与件文の表記があったら要チェックです。事例Ⅱのマーケティング事例では頻出の論点ですね。
専門性追求力
品揃えなど、専門性を高めている小規模企業も多く見かけます。
より深く専門性を高められるのも小規模企業の強みです。専門的なアドバイスを求める顧客が多いなど与件文に記述されていたら要チェックです。
本物追求力
本物を好む人は筆者の周りにも数多く存在します。お金を払うなら本物のワインを飲みたい、大切な人に本物の和菓子を贈りたいなどのニーズもありそうです。
専門性とも似ていますが、本物を提供できるのも小規模企業の強みです。チェーン店ではなく、個人のうまいステーキ屋さんで本物の肉を食べたいですよね。
品質追求力
とことん品質を追い求めていく力も小規模企業にはあると思います。平成24年の組織事例など海外展開を図る事例であっても、品質を確保できるかどうかがポイントとなるケースもありますね。

感性訴求力
感性に訴求することは非常に重要です。
以前、岩崎教授のセミナーを聴講したことがあります。著書にも書かれておりますが、「トマト一個にいくら払いますか?」と問われたらいかがでしょうか。
一方、「おいしいものにいくら払いますか?」と問われたらいかがでしょうか?
おそらく、後者のほうが金額が高いと思います。
感性とは、おいしい、美しい、きれいなど形容詞で表現できます。サイコグラフィック的であり、市場細分化するうえでも感性訴求力は大事です。

対面販売力
販売方法は、セルフサービスなど多種ありますが、やはり小規模企業や個人店では対面販売に強みがあります。
顧客とのコミュニケーションをとりながら、関係性を強化できるのが対面販売です。特にマーケティング事例などで、販売方法はどういうスタイルかを意識すると良いです。
独学者はこれを覚えるだけで合格へ近づく!中小企業診断士二次試験の強みの定石:無形資源×小規模特性
無形資源のみ、小規模特性のみでは、なかなか競争優位性を確保することも現在では難しいでしょう。
競争優位性を高めたり、コア基盤を確立するためには、無形資源と小規模特性を掛け合わせた強みを顧客に認知してもらうべきです。
中小企業診断士の二次試験おいては、無形資源と小規模特性の記述が与件文にあったら要チェックし、活用できないか吟味しましょう。
二次試験の解答で意識すべき切り口も参考に
これらの無形資源と小規模特性について、切り口を参考にしながら整理するのも一手です。
具体的には、製品面、市場面、取引面、営業・販売面、技術面など、企業の経営活動やバリューチェーンにおける切り口で、どこに強みがあるのかを分析・診断するのも多面的に捉えることができて良いでしょう。

まとめ:中小企業診断士の二次試験では強みの考え方を理解しよう!
中小企業診断士の二次試験における強みの認識は、無形資源と小規模特性で間違いないです。
しかし、強みは顧客に受け入れられてこそ、真の強みになります。
中小企業が真の強みを発揮できるようにすること、これが中小企業診断士としてコンサルする使命でもあります。
