二次試験

【解法テク】中小企業診断士の二次試験の解き方|設問ポジショニング

中小企業診断士の二次試験はどうやって解くの?

中小企業診断士二次試験の独学者では、このように感じる方も多いですよね。

当サイトでは独学者向けに二次試験に合格するための解き方を予備校並みに解説しています。

その1つに、「設問のポジショニング」があります。

まず押さえよう!中小企業診断士二次試験の解き方

二次試験の解き方を順を追って説明しますと、「設問のポジショニング」は第3工程になります。

つまり、その前の工程として「設問リーディング」、「与件リーディング」の2工程があります。

そのため、「設問リーディング」と「与件リーディング」についてまだ確認されていない方は、まずこちらの記事を読むことをオススメします。

中小企業診断士の二次試験の解き方・解答手順【プロコンが教えます】 中小企業診断士の二次試験ってどうやって解くの?合格答案を書くための解き方を教えてほしい。 予備校の模範解答は難しいから、一...

中小企業診断士の二次試験の解き方:設問のポジショニングとは?

設問のポジショニングとは、設問1問ごとに、中小企業診断士の共通フレームワークの中のどのフェーズで答えるかという意味です。

二次試験の考え方である共通フレームワークやフェーズの詳細については、【独学者向け】中小企業診断士の二次試験に必要な全知識【全事例まとめ】ご覧いただくと便利です。

ここでは、フェーズについて簡単に復習したいと思います。

中小企業診断士の二次試験で重要なフェーズとは?

フェーズには、以下の種類があります。

  • 経営理念
  • 現状分析(環境分析)
  • 経営戦略(全体戦略)
  • 機能別戦略

経営理念

経営理念は、社長の想いや経営哲学、スローガンとして時代を超え承継されていくものです。

経営理念のフェーズを問われる設問はありませんが、この経営理念を常に念頭に置き、事例を解くべきです。すべての設問に関わってくると言っても過言ではありません。

現状分析(環境分析)

言葉の通り、企業の現状を分析するフェーズです。現状分析(環境分析)のツールとしては、SWOT分析や3C分析があり、傾向としては、設問の最初の方で問われることが多いです。

経営戦略(全体戦略)

経営戦略は、事例企業の事業展開の方向性を指します。

経営戦略に関する設問に対する解答方法としては、「誰に、何を、どのように」、または、「S⇒O(強みを機会に生かす)」があります。

また、成長戦略の「製品・市場」、競争戦略の「差別化・集中」の考え方もあります。

機能別戦略

機能別戦略については、事例によってフェーズが異なります。

組織・人事事例

組織人事というフェーズで考えます。

組織フェーズは、組織構造組織文化に分解して考えます。人事フェーズは、能力向上モラール向上に分解して考えます。

マーケティング事例

商品ハードソフト顧客管理というフェーズで考えます。

商品フェーズは、品揃え価格に分解して考えます。ハードフェーズは、店舗立地に分解して考えます。ソフトフェーズは、プロモーション販売方法サービスに分解して考えます。顧客管理フェーズは、そのまま顧客管理として考えます。

生産事例

品質管理原価管理工程管理というフェーズで考えます。

さらに、この3つのフェーズに加え、設計調達作業という生産の機能及びIT活用も押さえます。

品質管理フェーズは、そのまま品質管理として考えます。原価管理フェーズは、原価低減在庫管理に分解して考えます。工程管理フェーズは、生産計画生産統制に分解して考えます。

財務・会計事例の場合は、出題形式が他の事例とは若干異なりますが、経営理念や現状分析は共通しています。

計算問題といった定量的なものだけでなく、経営理念や強み、弱みなど定性的な事象をしっかりと捉えるべきです。

二次試験の解法「設問のポジショニング」の方法

では、実際に設問のポジショニングをどのように行うのか説明したいと思います。

設問全体を見て、それぞれの設問に対して、どのフェーズで解答すれば良いかを考えます。

必ずしもすべてのフェーズを使うとは限りませんが、フェーズを特定できない設問などがあれば、使っていないフェーズで解答しようと考えることもできます。

例えば、組織事例でいえば、人事制度のことを問われているのに、経営戦略の内容を解答すると、トンチンカンな内容となってしまい、出題者の意図に反した解答となり、評価も低くなります。0点の可能性さえあります。

では、具体的に、過去問を使って設問のポジショニングを行いたいと思います。ここでは、設問リーディング及び与件リーディングの内容は割愛します。事例ごとの設問リーディングなど詳細については、過去問解説で別記します。

平成24年度事例Ⅰ(組織事例)

第1問(配点20点)
A社のような中小企業が近年、海外での事業活動に積極的に取り組むようになっている。A社のような企業の場合、どのような外部環境の変化が海外進出を促していると考えられるか。
その要因を2つあげ、それぞれ40字以内で簡潔に述べよ。

第2問(配点20点)
A社は、Y社の要請による海外進出を実現していないが、X社の要請に応じて、2002年に東南アジアの新興国S国に初めて生産拠点を設けている。
Y社の要請によるA社の海外進出が実現しなかったのはなぜか。X社の状況を考慮に入れて、考えられる理由を100字以内で答えよ。
第3問(配点20点)
日本国内の重要保安部品を自動車部品メーカーに供給しているA社では、表面加工処理の自動化システムなどを開発し、品質の確保を図ってきた。しかし、東南アジアの中でも労働者が勤勉だと言われるS国の工場に、品質保証のためのシステムを導入したにもかかわらず、X社向け表面加工処理が主であるS国の工場を日本の工場の品質保証レベルまでに引き上げるにはかなりの時間がかかかった。
それには、どのような理由が考えられるか。120字以内で答えよ。
第4問(配点20点)
A社では、生産管理現場に精通し管理能力に長けている係長クラスの人材を海外生産拠点の工場長として送り込んでいる。現地工場の運営管理以外に、係長クラスの人材に、どのような役割を期待し、どのような能力を向上させていくべきかについて、中小企業診断士として、A社の社長に100字以内で助言せよ。
第5問(配点20点)
A社は、日本国内で課長以上の社員を対象に成果主義賃金制度を導入しようと考えている。中小企業診断士として、制度の設計および導入にあたって、A社の場合、どのような点に留意すべきかを120字以内で助言せよ。

上の設問全体を見てください。どの設問がどのフェーズに該当するかわかりましたか?

それでは、1問1問見てきたいと思います。

第1問

第1問(配点20点)
A社のような中小企業が近年、海外での事業活動に積極的に取り組むようになっている。A社のような企業の場合、どのような外部環境の変化が海外進出を促していると考えられるか。
その要因を2つあげ、それぞれ40字以内で簡潔に述べよ。

設問文中に、「・・・どのような外部環境の変化・・・」と記載されているので、中小企業診断士試験におけるフレームワークの中のフェーズは、「現状分析(環境分析)」と特定できます。設問文の左横に「」と記載します。

外部環境の切り口としては、「機会・脅威」、「市場・競合」などがありますね。海外進出を促しているA社を取り巻く外部環境の変化について解答すれば良いことがわかります。

以下の与件文がヒントになります。

第1段落
近年、わが国でも、業種・業態の違いや規模の大小を問わず、多くの企業が地球規模に事業を展開しようとしている。A社も、小規模ながら海外で事業を展開する企業のひとつである。

第2段落
2000年代初頭には、取引先の自動車部品メーカーX社の強い誘いを受けて、経済成長著しい東南アジアのS国の経済特区に工場を建設し、海外進出を果たした。さらに、X社がすでに生産を開始しているT国でも、工場稼働に向けて準備を進めている。
第7段落
こうして信頼を得てきたA社は、自動車メーカーのグローバル化に対応して海外生産体制の強化を迫られたY社をはじめとする自動車部品メーカーから、幾度となく経済的支援を前提とした海外進出を打診されてきた。
第8段落
すでに述べたように、A 社の海外進出は、X 社の強い勧誘と経済的支援を受けて、2002 年、S国の経済特区内に同社初の海外工場を開設したときに始まる。

第2問

第2問(配点20点)
A社は、Y社の要請による海外進出を実現していないが、X社の要請に応じて、2002年に東南アジアの新興国S国に初めて生産拠点を設けている。
Y社の要請によるA社の海外進出が実現しなかったのはなぜかX社の状況を考慮に入れて、考えられる理由を100字以内で答えよ。

設問からは、A社はX社の要請に応じて海外進出を果たしているが、Y社の要請では海外進出が実現できていないことが読み取れます。設問の第1問や第2問あたりは現状分析系の設問の出題が多いですが、決めつけてはダメです。あくまでも候補の一つとして捉えましょう。

「X社の状況を考慮に入れて」という制約条件がミソだと思います。

与件文を見てみましょう。

第2段落
2000年代初頭には、取引先の自動車部品メーカーX社の強い誘いを受けて、経済成長著しい東南アジアのS国の経済特区に工場を建設し、海外進出を果たした。さらに、X社がすでに生産を開始しているT国でも、工場稼働に向けて準備を進めている。

第6段落
多くの部品メーカーが重要保安部品を内製化している中で、A社が取引先から高い評価・信頼を得ているのは、徹底した品質保証体制を確立したからである。
第7段落
こうして信頼を得てきたA社は、自動車メーカーのグローバル化に対応して海外生産体制の強化を迫られたY社をはじめとする自動車部品メーカーから、幾度となく経済的支援を前提とした海外進出を打診されてきた。しかし、それがなかなか実現しなかったことから、A 社は国内工場の技術革新に邁進してきた。
第8段落
すでに述べたように、A 社の海外進出は、X 社の強い勧誘と経済的支援を受けて、2002 年、S国の経済特区内に同社初の海外工場を開設したときに始まる。海外工場で国内と同様の品質保証の体制が確保することができるかどうかは、大きな挑戦であった。品質保証を担保するための自動化システムや検品ノウハウを導入したとはいえ、海外工場での品質の安定的な維持・確保は、それほど容易ではなかった。

A社は、徹底した品質保証体制を確立し、取引先から高い評価と信頼を得ています。これはA社の強みであると思います。しかし、海外工場では、国内と同様の品質保証の体制を確保することが難しいことが読み取れます。

ここで、X社の状況を考慮に入れると、S国に進出したほか、現在ではT国でも工場稼働に向け準備をしているとのこと。つまり、おそらくX社とはA社の強みである品質保証体制を実現できるまでに至っている点が推測可能です。

さらに与件を見てみます。

第2段落
2008 年
秋のリーマンショックを契機とした世界金融危機の時には、主要取引先の営業不振の煽りを受けて、一時、売上・収益を大幅に減少させた。しかし、幸いにもその危機を乗り越えることができた。今では、当時を上回る売上となり、収益も倍近くになっている。

第5段落
中でもY 社関連の取引額が最も大きく、現在でも依存度が高い。

Y社は主要取引先であり、依存度も高いことがうかがえます。ただ、これはY社の状況なので、引用すべきか微妙なところです。

まとめると、海外進出では、強みである品質保証体制の確保が難しく、Y社からの打診でその強みを確保できるのか。また、X社とはS国の実績からさらにT国での工場稼働に向け準備しており、品質保証体制を確立できるノウハウがある。

この設問の解答では、強みを記述する必要があります。フェーズとしては、「現状分析(環境分析)」で良いと考えますが、経営戦略的に、シナジー・リスクの観点から考えても解答できそうです。設問文の左横に、「」または「」と記載すれば正解だと思います。必ず、解答に強みが記載されてことが必須条件です。

できれば、フェーズを決めつけたほうがよいですが、解答を考えながら書く際に、もう一度整理すれば良いと思います。そこまできっちりこなせないのが普通の人間です。

ちなみに筆者は、試験当日、依存度という表現が気になり過ぎて、Y社の依存度リスクを低減する点と強みの品質保証体制の安定的な維持・確保が難しい点について解答しました。

第3問

第3問(配点20点)
日本国内の重要保安部品を自動車部品メーカーに供給しているA社では、表面加工処理の自動化システムなどを開発し、品質の確保を図ってきた。しかし、東南アジアの中でも労働者が勤勉だと言われるS国の工場に、品質保証のためのシステムを導入したにもかかわらず、X社向け表面加工処理が主であるS国の工場を日本の工場の品質保証レベルまでに引き上げるにはかなりの時間がかかかった。
それには、どのような理由が考えられるか。120字以内で答えよ。

「労働者」という表現があるので、フェーズとしては、「組織」か「人事」だと推測できます。労働者なので、人事かなとも思いますが、次の設問文を見てみましょう。

第4問

第4問(配点20点)
A社では、生産管理現場に精通し管理能力に長けている係長クラスの人材を海外生産拠点の工場長として送り込んでいる。現地工場の運営管理以外に、係長クラスの人材に、どのような役割を期待し、どのような能力を向上させていくべきかについて、中小企業診断士として、A社の社長に100字以内で助言せよ。

係長クラスの人材の活用について問われています。設問文で、「どのような能力を向上・・・」という表現がありますので、「人事」のフェーズの能力向上とモラール向上が想起できます。

この設問文の解答フェーズは、「人事」で良いと思います。設問文の左横に、「」と記載します。

ここで、第3問はさらに後回しにして、次の設問文を見てみましょう。

第5問

第5問(配点20点)
A社は、日本国内で課長以上の社員を対象に成果主義賃金制度を導入しようと考えている。中小企業診断士として、制度の設計および導入にあたって、A社の場合、どのような点に留意すべきかを120字以内で助言せよ。

この設問でも課長という人事的な表現があります。さらに、問われている内容としては、「制度の設計及び導入にあたっての留意点」なので、経営戦略などの上位概念ではなく、あくまでも現場レベルの設問であると理解できます。

つまり、この設問文の解答フェーズは、、「人事」で良いと思います。設問文の左横に、「」と記載します。

ということは・・・ここで第3問に戻りましょう。

第3問

第3問(配点20点)
日本国内の重要保安部品を自動車部品メーカーに供給しているA社では、表面加工処理の自動化システムなどを開発し、品質の確保を図ってきた。しかし、東南アジアの中でも労働者が勤勉だと言われるS国の工場に、品質保証のためのシステムを導入したにもかかわらず、X社向け表面加工処理が主であるS国の工場を日本の工場の品質保証レベルまでに引き上げるにはかなりの時間がかかかった。
それには、どのような理由が考えられるか。120字以内で答えよ。

ここで、この与件文に着目します。

第6段落
多くの部品メーカーが重要保安部品を内製化している中で、A社が取引先から高い評価・信頼を得ているのは、徹底した品質保証体制を確立したからである。人命にかかわる重要保安部品には、いかなる不良も不具合もあってはならず、常に製品に完璧さが求められるのはいうまでもない。A社は、長年にわたって蓄積してきたデータを活用して、気温や湿度、一回の処理工程で加工する製品の数などの条件が変化しても、ある程度まで同品質の皮膜生成を可能とする自動化システムを開発した。それを活用して高精度の加工処理と短納期化を実現した。もちろん、システムが完備されているからといって、それだけで求められる品質を完全に保証することができるわけではない。品質保証を万全にし、完璧な製品を供給するためには、取引先企業の状況を考えた現場での絶えざるプロセス改善が不可欠であるだけでなく、製品の異常を発見することに対する意識の醸成やそれに即座に対処する能力を継続的に育成・確保していく体制が必要となる。

上の与件文のピンクマーカーの箇所を見てください。設問文と同じ「システム」という表現があります。さらに、「システム」だけでは完璧な品質を保証できないと読み取れます。なぜ、完璧な品質が必要かと言うと、A社の取扱製品は人命にかかわる重要保安部品だからです。

では、どうすれば良いかと言うと、「取引先企業の状況を考えた現場での絶えざるプロセス改善が不可欠であるだけでなく、製品の異常を発見することに対する意識の醸成やそれに即座に対処する能力を継続的に育成・確保していく体制が必要」という与件文に目が行きます。

意識の醸成やそれに即座に対応できる能力は、組織フェーズの組織文化で解答できそうです。そうなれば、取引先の状況を考えた現場での絶えざるプロセス改善は、組織構造で解答しても良いのでは、と思うはずです。

つまり、この設問文の解答フェーズは、「組織」で良いと思います。設問文の左横に、「」と記載しましょう。

まとめ:設問のポジショニングは二次試験の解き方でかなり肝です!

設問のポジショニングを考えるうえでは、やはり、設問文全体を見ることが重要です。

今回の場合も、人事的な設問が後半の2問で出題されていますので、第3問の解答フェーズが最初わからなくても、設問文全体を見れば解答フェーズの方向性が見えてくるはずです。

追記をするなら、今回の例では、人事の設問が2問あり、第5問は制度の設計と導入という現場レベルの問いであることから、第4問は人材の戦略的活用という点で少し上位概念で解答を記述できるとベターだと思います。

解説の詳細や解答例に関しては、今後、過去問解説で順次、記事をアップしていきます。

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中小企業診断士の診丸(しんまる)です。 平成23年に中小企業診断士一次試験合格、平成24年に中小企業診断士二次試験に合格しました。 受験中はサラリーマンで、プライベートでも結婚という一大イベントもありながら、私のような普通の人が2年で中小企業診断士試験に合格した勉強法を中心に診断士の全てを紹介します。

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