こういった疑問にこたえます。
- 独学者向けに中小企業診断士二次試験の「生産・技術事例」のコツを紹介!【実は・・国語です】
- 独学者必見!中小企業診断士二次試験の「生産・技術事例」に必要な全知識はコレだけ!
生産事例に苦手意識を持つ方は多いです。
私はメーカー出身ではなく、受験時は製造現場なんて見たことありませんでした。
マシニングセンタと言われてもどんな機械かもわかりませんでしたし、イメージなんて湧くはずもありません。
しかし、生産事例は製造現場を知らなくても解けます。むしろ、製造現場を知らない方が解きやすい事例といっても過言ではありません。
生産事例に必要なのは、国語で読む力とごくわずかな知識だけです。
国語で読む力とごくわずかな知識をこの記事で紹介しますので、それらをマスターすれば生産事例で合格点を勝ち取ることが可能になります。
目次
独学者向けに中小企業診断士二次試験の生産・技術事例のコツを紹介!【実は・・国語です】
生産・技術事例は、
- 製造業に勤務したことがないから解きづらい
- 専門用語も多く苦手
といった声をよく聞きます。
すでに述べたとおり、私も製造業に勤務したことはなく、生産の「セ」の字も知らないど素人でした。ど素人といっても、一次試験には合格しているので、ある程度の知識だけはありました。
しかし、生産事例は全く難しくありません。むしろ、点数のとりやすい、解きやすい事例であると思います。
その理由はタイトルにもあるとおり、国語と一緒だからです。
「でも・・中学や高校時代、国語は苦手でした」という方もいるかもしれませんが、私も国語は大の苦手でして、それでも生産事例を解けたので安心してください。
与件文に書いてある事象(問題点が書かれていることが多い)をありのまま素直に捉え、設問文で問われたことに対し問われたように答えるのみ。
二次試験の生産事例の過去問を繰り返し解くうちに、生産事例は作業的になり「こう書かれているから、こう書けばよい」と、方程式を簡単に立てられるようになります。
とはいっても、一次試験で習得した最低限の前提知識は必要ですので、生産・技術事例で必要なごくわずかな知識を紹介したいと思います。

独学者必見!中小企業診断士二次試験の生産・技術事例に必要な全知識はコレだけ!

生産とは、5Mを投入することで、受注や販売予測等に基づき、生産形態の決定や内作にするのか、外作にするのか、設計、調達、作業を通じて、顧客の要求するQCDを満たす製品を製造、販売することです。
顧客の要求するQCDを満たすためには、生産のフローの要所要所で徹底された管理が必要になります。
つまり、外注管理や設計監理、調達管理、作業管理、品質管理といった生産管理が疎かであると、品質が低下したり、原価が上昇し利幅が低下したり、納期が遵守できなかったりと、企業内部への影響だけでなく、顧客の信頼を失う可能性もあります。
従って、生産活動を行うにあたって、生産管理は最も重要な要素であると言えます。
生産活動のゴールは、生産管理を徹底することによって、生産性・収益性を向上することであると言っても過言ではありません。
それでは、事例Ⅲの生産・技術事例に必要な全知識と二次試験での活用・応用の考え方についてご説明していきます。
生産・技術事例に必要な全知識と切り口
以下では、生産事例に関連する必要な知識と切り口について説明しています。生産事例で必要な一次試験知識と切り口はこれだけです。
5M
5Mは生産のインプットであり、人(Man)、設備(Machine)、材料(Material)、方法(Method)、資金(Money)の頭文字をとったものです。
生産形態
生産形態 | メリット | デメリット |
---|---|---|
多品種少量生産 | 小口注文に柔軟に対応可能、消費者ニーズの多様化に適する | 品種切替(段取り替え)により生産効率悪化 |
少品種多量 | 規模の経済による原価低減、生産性向上 | 需要変動への対応難、在庫過多リスク |
生産形態 | メリット | デメリット |
---|---|---|
受注生産 | 受注後生産のため、在庫を持たない | 受注状況により操業度変動、生産性があがりにく |
見込生産 | 規模の経済による原価低減、生産性向上、在庫即納可 | 需要予測の誤りによる死蔵在庫リスク |
生産形態 | メリット | デメリット |
---|---|---|
個別生産 | 顧客の要望にきめ細かく対応 | 部品が多品種で調達コストが増大するリスク |
ロット生産 | 製品の多品種化、生産性あがりやすい | 顧客の要望への対応が弱くなる |
連続生産 | 作業の標準化で生産性向上 | 製品の多品種化の対応難しい |
生産形態 | メリット | デメリット |
---|---|---|
セル生産 | 工程内の仕掛在庫なし、個人のモチベーション向上が期待できる、多能工、多品種に適する | 高いスキルの作業者が必要、育成に時間がかかる |
ライン生産 | 同一製品を大量生産、単能工、高いスキルがいらない傾向 | ライン変更要、単純作業でモチベーション低下、工程ごとの作業ペースにより仕掛在庫あり |
内外作区分
外作のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
外部の高い専門性 | 技術・ノウハウ低下 |
需要変動に対応 | 独自技術の流出リスク |
※内作のメリット・デメリットは、外作のメリット・デメリットを逆転させたものです。
設計・調達・作業
設計では、デザインレビューが知識としてあります。
製造現場や販売現場を把握した設計をし、製品に関わる人が広く参加すると、より良い設計ができます。
プロダクトイノベーションを実現しやすい切り口です。VE(バリューエンジニアリング)においては、機能に大きく関わってきます。
調達では、MRPが有名です。資材所要量計画として、部品の調達時期と数量を算出します。VE(バリューエンジニアリング)においては、価格(コスト)に大きく関わってきます。
※VEとは、機能を分子に、価格を分母にして、いかに製品・サービスの価値を向上させていくかを図る手法です。
作業では、IE(インダストリアル・エンジニアリング)として、方法研究による標準作業や作業測定による標準時間の設定など様々な手法があります。
調達と設計は、プロセスイノベーションを実現しやすい切り口です。
作業に関する予備知識としては以下のようなものがあります。
3S | 単純化、標準化、専門化 |
---|---|
改善のECRS | 排除、結合、交換、簡素化 |
7つのムダ | 在庫、作り過ぎ、不良、手待ち、加工、動作、運搬 |
5S | 整理、整頓、清掃、清潔、しつけ |
3R | リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用) |
QCD
生産のインプットに対し、生産のアウトプットであり、品質、価格、納期のこと。
二次試験で一次試験を活用・応用するのはどうやって?
生産事例の二次試験では、以下のように考え、事例を国語的に紐解いていきます。
生産性・収益性
生産・技術戦略のゴールは、生産性・収益性を向上させることです。生産事例を解くうえでは、生産性と収益性の2つの視点を忘れないようにしてください。
また、生産事例の課題解決の方向性としては、短期的課題として生産リードタイムの短縮、長期的な課題として製品の高付加価値化が挙げられます。一つの方向性として、頭の中にインプットしてください。
強み
生産事例では、強みの切り口として、製品面、市場面、取引面、営業・販売面、技術面などで考えると整理しやすいです。
強みに関しては非常に重要なので、以下記事で復習をしましょう。

品質管理(Q)
品質は、顧客にとっての品質という点で考えられると良いと思います。
一部門におけるSQCやボトムアップの全部門参加によるTQC、トップダウンで社内の活性化や意識醸成を全社的に行うTQMなどの活動があります。
また、品質はクレームの多い分野でもあります。クレームの事前と事後での対応など設問で問われるケースもあります。
品質管理のツール例として、ISOや作業標準、全数検査、QC7つ道具などがあります。
原価管理(C)
原価管理は、原価低減と在庫管理にわけて考えます。
原価低減は、部品の共通化や組立の容易性など、設計・調達・作業のうち、設計面を革新すると効果が大きく表れてきます。また、ロスの低減や残業を減らすことも過去の設問で問われています。
在庫管理は、最適な在庫を確保する(在庫を適正化する)ことが1つの方向性です。
在庫管理の方法としては、在庫のABC(定期発注、定量発注)、ラインバランシング(仕掛在庫削減)などがあります。
在庫するメリットとしては、品切れ防止、リードタイム短縮、発注費用低減などがあります。
一方、在庫するデメリットとしては、CF(キャッシュフロー)の悪化、死蔵在庫リスク、保管費用の増大などがあります。
工程管理(D)
工程管理は、生産計画と生産統制にわけて考えます。
生産計画では、日程計画として、大日程・中日程・小日程などの時間軸、工数・負荷計画として、手順・工数・負荷を切り口として覚えておくべきです。
生産統制では、稼働率や段取りなど進度(進捗)管理、現品管理、余力管理を切り口として覚えておくべきです。
IT
ITや情報に関する設問は必ず出題されます。ITによる効果と効率を押さえておくべきです。
情報の設問では、外注や社内、取引先など、「誰と誰が、誰のどんな情報を」という点で考えましょう。
情報化の方向性として、一元化、リアルタイム共有、データベース化、全社共有、同期化、ネットワーク化などが挙げられます。
この情報化により、さらなるQCDの改善や効果的なマーケティング活動を実現できます。
さらに、効率化の側面としては、CAE、CAD、CAMなどのコンピューター利用、CE(コンカレント・エンジニアリング)による同時並行によるリードタイム短縮などもあります。
独学者向け中小企業診断士二次試験の「生産・技術事例」に必要な全知識、まとめ
いかがでしたか。
二次試験の「生産・技術事例」で必要な一次試験知識はごくわずかです。これらの知識は確実にマスターしましょう。
生産事例を解くコツは、与件文に書かれていることをありのまま素直に捉えて、設問で問われている内容に沿って、一次試験知識を活用して多面的に答えることです。
難しく考えることはありません。「・・・ができていない」という与件があったら、一次試験知識を使い、できるようにする施策を考えるだけです。
現場の実務経験は一切不要!国語の試験として生産事例に臨んでください。
