中小企業診断士の二次試験には、解き方のコツがあります。
そのコツを理解するためには、「中小企業診断士に求められるもの」を理解する必要があります。その理解の先にあるのが解答のコツ、つまり、切り口なんです。
目次
中小企業診断士の力とは?
中小企業診断士は、企業をコンサルする専門家ですが、私は中小企業診断士の二次試験を通じて、「中小企業診断士とは、多面的に物事をとらえることができる専門家」であると理解しています。
「多面的に物事をとらえる」とは、中小企業診断士の二次試験においては、「様々な切り口で解答を書く」と換言できるでしょう。
ただ、やたらと切り口に分けて解答するのではなく、与件文や設問文を通じて、事例企業の状況を理解したうえで、一次試験知識を活用しながら最適な切り口で解答する必要があります。
独学者には必須!中小企業診断士の二次試験の基本【MECE】
中小企業診断士の二次試験では、ロジカル・シンキングが非常に重要です。
ロジカル・シンキングを学ぶうえで、必ず、「MECE」という言葉がでてきます。
読み方は、ミッシーやミーシーなど人によって違ったりします。
「MECE」とは、簡単に言えば、モレなくダブリなくです。
中小企業診断士の二次試験では、モレなくダブリなく解答する必要があり、そのために切り口が有用なのです。

独学者は最低限覚えたい!中小企業診断士の二次試験で使える汎用性の高い切り口一覧
組織・人事事例、マーケティング・流通事例、生産・技術事例、財務・会計事例で、事例特有の一次知識や切り口が存在しますが、ここでは、事例全体で活用可能な汎用性の高い切り口を紹介します。
いざ、設問文に対峙し、「何を解答したらよいかわからない」という場合もあるかと思いますので、その際は、汎用性の高い切り口を活用して解答を記述できないか、考えてみるのも良いでしょう。
ただ、あくまでも、与件文や設問文、一次試験の知識をもとに切り口を考えることが第一優先であることは忘れてはいけません。
客数・客単価
売上高に関する切り口です。「売上高を向上させる施策を答えよ」という設問であれば、「・・・をすることで、客数を向上させる、・・・をすることで、客単価を向上させる」といった解答骨子も考えられます。
既存・新規
顧客や事業など、様々な分野で使える切り口です。「A社の顧客数を増加させる取り組みについて」という設問など、「・・・により既存顧客の来店頻度を高める、・・・により新規顧客を取り込む」といった解答骨子なども考えられますね。
メリット・デメリット
施策の導入や組織の構造など、良い点や悪い点について記述することが考えられます。「多面的に見る」とは、悪い点だけでなく、良い点も抽出できる力です。しかし、悪い点のみを設問で問われていて、良い点も解答するのはNGですよ。
内部・外部
マーケティング・アクションを実行する場合など、企業の内部=社内に対してはどのような影響があるか、企業の外部=社外に対してはどのような影響があるかなど、「内部と外部」は非常に汎用性の高い切り口です。
ハード・ソフト
小売店などにおいて、店舗や立地面などのハード面、サービスやプロモーションなどのソフト面の戦略というように、企業をハードとソフトの両面でとらえたり、相互補完できるような戦略を立案したり、この切り口も非常に汎用性が高いです。
質・量
仕事においても、質を高めること、量をこなすこと、どちらも大事です。このように、普段から何気なく使っている切り口もあります。生産・技術事例などでは、品質や機能、生産数量やコストなど、「質・量」の切り口は使えそうですね。
定性・定量
筆者も中小企業診断士の勉強で、はじめて定性という言葉を知りました。
数字で表現できるものが定量、数字で表現できないものが定性です。定性的なものだけでなく、定量的に説明できると具体的になりますね。
実務でも、ものづくり補助金など数値化、見える化して記述すると具体的になり、採択される可能性があがります。
効果・効率
効果と効率は明確に違います。売上高とコストで簡潔に述べるとすれば、売上高があがることが効果、コストがさがることが効率です。「この施策を導入することによるメリットを答えよ」という設問があった場合、「メリットは、収益性を高めることができる点である。具体的には、(効果)・・・のため、売上高を向上できる、(効率)・・・のため、コストを削減できる。」といった解答骨子もできそうですね。
短期・中期・長期
時間軸の切り口です。「この事業展開がA社に及ぼす影響について助言せよ」と問われた場合、「短期的には、・・・、長期的には・・・、という影響がある。」という解答骨子も導けそうです。
過去・現在・未来
この切り口も時間軸の切り口です。事例を解くうえで、時系列を意識することは重要です。
顧客・競合・自社
3C分析の切り口です。事例企業について3C分析することは非常に有用です。
製品・価格・チャネル・プロモーション
マーケティングミックスの4Pの切り口です。業種によってもこの切り口は変わりますが、製造業でマーケティングミックスを考える場合に必要な切り口です。
BtoB・BtoC
マーケティング戦略などを練るうえで、使えそうな切り口です。ターゲット市場が企業なのか、消費者なのかは、アプローチ方法も異なりますし非常に重要です。
受信・発信
最近では、IT化の進展もあり、情報を切り口にした設問も出題されます。顧客とのコミュニケーションやアンテナショップなど、情報を受発信する場という考え方もあり、この切り口も結構使えます。
部分・全体
部分最適や全体最適など、中小企業診断士の一次試験で学んだ切り口です。主に生産事例で活用できるかと思います。
企業・従業員・顧客
これは、インターナル、エクスターナル、インタラクティブのサービスマーケティングの考え方による切り口です。
上記以外にも、「マクロ・ミクロ」、「時間・空間」、「投資・運用」、「有形・無形」、「需要・供給」、「トップ・ミドル・ロワー」、「都市・地方」、「プロダクトアウト・マーケットイン」など様々な切り口があります。覚えられるのにも限度があります。上記に記載した切り口は最低限覚えておいてください。
中小企業診断士二次試験の解法の基本【切り口】のまとめ
最後に、二次試験の解法の基本である切り口についてまとめておきます。
- 中小企業診断士であれば多面的に答えよう!
- MECEを意識しよう!
- 汎用的な切り口は最低限知識として押さえよう!
- 切り口の濫用は避けよう!
