設問リーディングについて、『中小企業診断士二次試験の設問リーディングメソッド』の記事を読まれていない方は、まず以下の記事をご覧ください。

目次
第1問【中小企業診断士二次試験H29組織事例】
第1問の設問文は以下のとおりです。
景気低迷の中で、一度市場から消えた主力商品をA社が再び人気商品にさせた最大の要因は、どのような点にあると考えられるか。100字以内で答えよ。
以上の設問について、設問リーディングを行います。
主語
出題者の意図である、解答フレームの主語を特定します。筆者は試験当日、青色の下線(直線)で主語をマークしていました。
景気低迷の中で、一度市場から消えた主力商品をA社が再び人気商品にさせた最大の要因は、どのような点にあると考えられるか。100字以内で答えよ。
「最大の要因は、どのような点にあるか」と問われているので、要因について解答すれば良いです。
つまり、解答フレームの主語は、要因となります。
制約条件のマーク及び一次知識の書き出し
まず、制約条件をマークします。筆者は試験当日、青色の波線(ニョロニョロ)で制約条件をマークしていました。
景気低迷の中で、一度市場から消えた主力商品をA社が再び人気商品にさせた最大の要因は、どのような点にあると考えられるか。100字以内で答えよ。
制約条件は、景気低迷の中で、一度市場から消えた主力商品をA社が再び人気商品にさせたと100字以内になります。
一次試験知識の書き出しとしては、第1問ということもあり、現状分析系の問題かなとも推測できますので、ニーズ(O)、強み(S)あたりでしょうか。市場から消えている商品が再び人気商品になっているので、盤石な強みがあるのかとも推測できます。
筆者はこの一次知識や切り口を、設問文の近くの余白に記載していました。
ラフすぎる解答フレームの記述
主語は、要因と特定できています。また、100字以内という制約条件があるので、要因は2つありそうです。
よって、ラフすぎる解答フレームは、以下のとおりです。ラフすぎる解答フレームは設問文の下の余白に記述します。
要因は、 | 1.・・・ |
2.・・・ |
第1問はこれで終了です。
第2問【中小企業診断士二次試験H29組織事例】
第2問の設問文は以下のとおりです。
A社の正規社員数は、事業規模が同じ同業他社と比して少人数である。少人数の正規社員での運営を可能にしているA社の経営体制には、どのような特徴があるのか。100字以内で答えよ。
以上の設問について、設問リーディングを行います。
主語
出題者の意図である、解答フレームの主語を特定します。筆者は試験当日、青色の下線(直線)で主語をマークしていました。
A社の正規社員数は、事業規模が同じ同業他社と比して少人数である。少人数の正規社員での運営を可能にしているA社の経営体制には、どのような特徴があるのか。100字以内で答えよ。
「どのような特徴があるのか」と問われているので、特徴について解答すれば良いです。
つまり、解答フレームの主語は、特徴となります。
制約条件のマーク及び一次知識の書き出し
まず、制約条件をマークします。筆者は試験当日、青色の波線(ニョロニョロ)で制約条件をマークしていました。
A社の正規社員数は、事業規模が同じ同業他社と比して少人数である。少人数の正規社員での運営を可能にしているA社の経営体制には、どのような特徴があるのか。100字以内で答えよ。
制約条件は、A社の正規社員数は、事業規模が同じ同業他社と比して少人数と少人数の正規社員での運営を可能にしているA社の経営体制と100字以内になります。
一次試験知識としては、少人数の正規社員と記述されており、人事?と考えられるので、人事の切り口としての能力とモラールを書き出します。
また、経営体制という記述に対しては、組織?と考えられますので、組織構造の切り口である、専門化、権限・責任、統制範囲、命令一元化、例外(権限委譲)の5原則の知識を書き出します。さらに、組織文化の切り口である、共通目的、コミュニケーション、貢献意欲を書き出します。
少人数という言葉も気になります。一人あたりに任せる仕事量が多く、大企業と異なり、仕事を最後まで責任もってできるやりがいや達成感などモチベーションがあがりやすいなどの一般論も想起できます。ただ、一般論なので、A社の場合はどうか、与件文を見ないとここでは判断できませんね。そのため、一般論の備忘記録として、仕事の達成感、モチベーション、迅速な意思決定などを記載するくらいです。
筆者はこの一次知識や切り口を、設問文の近くの余白に記載していました。
ラフすぎる解答フレームの記述
主語は、特徴と特定できています。また、100字以内という制約条件があるので、特徴は2つありそうです。
よって、ラフすぎる解答フレームは、以下のとおりです。ラフすぎる解答フレームは設問文の下の余白に記述します。
特長は、 | 1.・・・ |
2.・・・ |
第3問【中小企業診断士二次試験H29組織事例】
第3問の設問文は以下のとおりです。
A社が工業団地に移転し操業したことによって、どのような戦略的メリットを生み出したと考えられるか。100字以内で答えよ。
以上の設問について、設問リーディングを行います。
主語
出題者の意図である、解答フレームの主語を特定します。筆者は試験当日、青色の下線(直線)で主語をマークしていました。
A社が工業団地に移転し操業したことによって、どのような戦略的メリットを生み出したと考えられるか。100字以内で答えよ。
「どのような戦略的メリットを生み出したと考えられるか」と問われていますので、戦略的メリットについて解答すれば良いことがわかります。
つまり、解答フレームの主語は、戦略的メリットとなります。
制約条件のマーク及び一次知識の書き出し
まず、制約条件をマークします。筆者は試験当日、青色の波線(ニョロニョロ)で制約条件をマークしていました。
A社が工業団地に移転し操業したことによって、どのような戦略的メリットを生み出したと考えられるか。100字以内で答えよ。
制約条件は、A社が工業団地に移転し操業したと100字以内になります。
一次試験知識と切り口の書き出しとしては、戦略的メリットと問われており、戦略という文字に着目して、全体戦略を想起します。
全体戦略の切り口としては、二次試験で必要な一次試験知識(全事例共通)で説明していますが、そのうちの一つとして、製品・市場があります。ドメインとしては、誰に・何を・どのようにやS⇒Oの切り口もありますが、この設問ではメリットを問われていますので、一次試験知識としては、製品・市場と強み・機会を書き出すことができれば良いでしょう。
工業団地に移転し操業という表現も気になりますが、与件を見ないと判断できません。工業団地についての一般論としては、製造業等が集積している点など取引先に関するメリットがあるのか、なんて想像もできますが、製品・市場の市場面で記述することができると思いますので、ここは与件を見てから判断ですね。
筆者はこの一次知識や切り口を、設問文の近くの余白に記載していました。
ラフすぎる解答フレームの記述
主語は、戦略的メリットと特定できています。また、100字以内という制約条件があるので、メリットは2つありそうです。
よって、ラフすぎる解答フレームは、以下のとおりです。ラフすぎる解答フレームは設問文の下の余白に記述します。
戦略メリットは、 | 1.・・・ |
2.・・・ |
第4問【中小企業診断士二次試験H29組織事例】
第4問の設問文は以下のとおりです。
A社は、全国市場に拡大することでビジョンの達成を模索しているが、それを進めていく上で障害となるリスクの可能性について、中小企業診断士の立場で助言せよ。100字以内で答えよ。
以上の設問について、設問リーディングを行います。
主語
出題者の意図である、解答フレームの主語を特定します。筆者は試験当日、青色の下線(直線)で主語をマークしていました。
A社は、全国市場に拡大することでビジョンの達成を模索しているが、それを進めていく上で障害となるリスクの可能性について、中小企業診断士の立場で助言せよ。100字以内で答えよ。
「リスクの可能性について・・・助言せよ」と問われているので、リスクの可能性を解答すれば良いです。
つまり、解答フレームの主語は、リスクの可能性となります。
制約条件のマーク及び一次知識の書き出し
まず、制約条件をマークします。筆者は試験当日、青色の波線(ニョロニョロ)で制約条件をマークしていました。
A社は、全国市場に拡大することでビジョンの達成を模索しているが、それを進めていく上で障害となるリスクの可能性について、中小企業診断士の立場で助言せよ。100字以内で答えよ。
制約条件は、A社は、全国市場に拡大することでビジョンの達成を模索とそれを進めていく上で障害となると中小企業診断士の立場と100字以内です。
一次試験知識と切り口としては、ビジョンの達成と書かれているので、経営理念や将来ビジョンが与件文に書かれているはずです。与件文を注意深く見るという備忘記録として、与件と設問文の近くに書き出しても良いと思います。
また、中小企業診断士の立場と記述されているので、筆者が何度も申し上げている、環境分析と多面的という文言を書き出してもらいたいです。
この設問は設問リーディングのみで考えるのは少し難しいです。つまり、リスクの可能性を答えさせるということは、どこかの設問でそのリスクを低減させる方策を答えさせる設問設計が過去の問題を見ても多いです。組織・人事事例なので、組織的リスクや人事的リスクがあるのかもしれません。
一般論的には、全国展開していなかった企業が全国市場に拡大すると、組織的課題や人事的課題のほか、製品と市場の観点でもリスクがありそうです。備忘記録として書き出しておくと良いでしょう。
このように設問リーディングの真髄は、設問文を読んで思いついた言葉や一次試験知識、切り口、一般論などをどんどん書き出していくことです。書き留めておけば、どんな視点から書けば良いのか考えることもできますし、思いついた内容の忘却を防ぐことができます。試験当日は緊張するので、思いついた知識も書き留めていないと少し時間が経過しただけで忘れる可能性もあります。
筆者はこの一次知識や切り口を、設問文の近くの余白に記載していました。
ラフすぎる解答フレームの記述
主語は、リスクの可能性と特定できています。また、100字以内という制約条件があるので、リスクの可能性は2つありそうです。
よって、ラフすぎる解答フレームは、以下のとおりです。ラフすぎる解答フレームは設問文の下の余白に記述します。
リスクの可能性は、 | 1.・・・ |
2.・・・ |
第5問【中小企業診断士二次試験H29組織事例】
第5問の設問文は以下のとおりです。
「第三の創業期」ともいうべき段階を目前にして、A社の存続にとって懸念すべき組織的課題を、中小企業診断士として、どのように分析するか。150字以内で答えよ。
以上の設問について、設問リーディングを行います。
主語
出題者の意図である、解答フレームの主語を特定します。筆者は試験当日、青色の下線(直線)で主語をマークしていました。
「第三の創業期」ともいうべき段階を目前にして、A社の存続にとって懸念すべき組織的課題を、中小企業診断士として、どのように分析するか。150字以内で答えよ。
「組織的課題を・・・分析するか・・・答えよ。」と問われているので、組織的課題について解答すれば良いです。
つまり、解答フレームの主語は、組織的課題となります。
問題点ではなく、課題を答える点に注意しないといけません。課題は問題点を解決するための方向性であり、ポジティブなイメージで記述する必要があります。課題と問題点の違いについては、中小企業診断士二次試験の事例を解く基本中の基本で説明していますので、ご覧ください。
制約条件のマーク及び一次知識の書き出し
まず、制約条件をマークします。筆者は試験当日、青色の波線(ニョロニョロ)で制約条件をマークしていました。
「第三の創業期」ともいうべき段階を目前にして、A社の存続にとって懸念すべき組織的課題を、中小企業診断士として、どのように分析するか。150字以内で答えよ。
制約条件は、「第三の創業期」ともいうべき段階を目前とA社の存続にとってと中小企業診断士としてと150字以内になります。
一次試験知識と切り口として、「第三の創業期」や主語の組織的課題という表現がありますので、組織構造と組織文化の切り口を書き出します。
具体的に、組織構造では、専門化、権限・責任、統制範囲、命令一元化、例外(権限委譲)の5原則の知識を書き出します。さらに、組織文化では、共通目的、コミュニケーション、貢献意欲を書き出します。
また、人事の可能性もなくはないので、人事の切り口としての能力とモラールを書き出します。
さらに、「第三の創業期」という記述から事業承継という知識も想起できます。書き出しておきましょう。
第4問でリスクの可能性を答えさせているので、第5問でそのリスクを低減する方策として課題(=やるべきこと)を抽出させるのかもしれません。ただ、これはあくまでも与件文を読む前の推測なので、決めつけてはダメです。
この第5問でも、中小企業診断士として、という表現がありますので、環境分析と多面的という文言を書き出しておきましょう。
筆者はこの一次知識や切り口を、設問文の近くの余白に記載していました。
ラフすぎる解答フレームの記述
主語は、組織的課題と特定できています。また、150字以内という制約条件があるので、組織的課題は2つ~3つありそうです。とりあえず、2つと仮定して解答フレームを作成します。
よって、ラフすぎる解答フレームは、以下のとおりです。ラフすぎる解答フレームは設問文の下の余白に記述します。
組織的課題は、 | 1.・・・ |
2.・・・ |
事例テーマの仮説【中小企業診断士二次試験H29組織事例】
第1問から第5問まで一通り設問リーディングを終えました。最後に、設問文全体を俯瞰して事例テーマを仮説します。
第三の創業期を迎えるA社は組織的課題がありながら、戦略的メリットや強みを生かしながらビジョンを達成するために全国市場への拡大を図っていく感じがざっくり読み取れると思います。
よって、事例テーマは以下のように仮説したいと思います。
この仮説の事例テーマは、問題用紙の上(与件文と設問文の上)の余白に筆者は書き留めていました。ここでは、あくまでも仮説なので、与件文を読んだあと、この仮説の事例テーマを検証します。
これで、平成29年事例Ⅰの過去問解説(設問リーディング)は終わりです。平成29年事例Ⅰの過去問解説(与件リーディング)は後日アップしますので、しばらくお待ちください。
まとめ【中小企業診断士二次試験H29組織事例】
平成29年の事例Ⅰの設問リーディングはいかがでしたでしょうか。
設問リーディングは以下の作業です。
- 主語を特定
- 制約条件をマーク
- 一次試験知識や切り口をとにかく書き出す
- ラフすぎる解答フレームを書く
- 事例テーマの仮説
やることは多いように感じますが、慣れればあっという間です。上の内容でもわかる通り合格者のレベルはこんなもんです。試験時間80分の中のごくわずかな時間で設問リーディングを行うので、上に記載した内容を実践できれば合格レベルです。
ごく普通の一般人でもできると思いませんか?
勉強に割く時間がなければ、設問リーディングのみを行うだけでも十分効果はあります。
過去問を使い、何度もチャレンジしてみましょう。
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